「南方週末」はこのほど、北京大學(xué)國(guó)際関係學(xué)院の陳斌氏の評(píng)論を掲載した。陳氏は評(píng)論の中で次のように述べた。
日本の厚生労働省の森岡正宏政務(wù)官は６月２２日、極東國(guó)際軍事法廷（東京裁判）の判決結(jié)果に疑義をはさんだ。森岡政務(wù)官は「戦爭(zhēng)は交戦國(guó)雙方に誤りがあるものだ。だが極東國(guó)際軍事法廷の審理では、戦勝國(guó)だけが正しく敗戦國(guó)はすべて誤りであり、さらに反平和罪と反人道罪を任意に利用して一方的に審理を進(jìn)める、という立場(chǎng)があらかじめ取られた。したがって判決は誤りだった」という立場(chǎng)だ。
さらに一ヶ月前、森岡政務(wù)官は自民黨國(guó)會(huì)議員會(huì)議の席上で「A級(jí)戦犯は日本國(guó)內(nèi)ではもう罪人ではない」という驚くべき言葉を発した。この論理からすると、森岡政務(wù)官は戦爭(zhēng)が一度勃発すれば、交戦國(guó)の雙方に誤りがあり責(zé)任を負(fù)うべきと考えているようにみえる。しかし森岡政務(wù)官の論理は、前提にすでに問(wèn)題がある。
國(guó)境で區(qū)分された國(guó)家間の政治では、他國(guó)の領(lǐng)土の占領(lǐng)、他國(guó)の資源の略?shī)Z、他國(guó)の國(guó)民の奴隷のような酷使を目的として「武裝侵入」を行い、その結(jié)果引き起こされた戦爭(zhēng)について、現(xiàn)在の法律と道徳は前者を「侵略者」「過(guò)失者」と普遍的に認(rèn)めている。それに従えば、戦爭(zhēng)は侵略者にとって非正義であり、被侵略者にとっては正義である。侵略された側(cè)にも誤りがあると強(qiáng)弁するのなら、「羊が大きくなって太り、ライオンの食欲を刺激すればライオンをじらすことになる」というたとえ話と同じことだ。國(guó)際政治というジャングルの掟「弱肉強(qiáng)食」そのものである。
歴史的な事実は、日本の軍隊(duì)が中國(guó)と東南アジア諸國(guó)を侵略し、戦爭(zhēng)犯罪と反人道的な罪を犯したということだ。日本が負(fù)けて敗戦國(guó)になり、戦勝國(guó)は正當(dāng)な手続きに基づいて國(guó)際軍事法廷を組織した。軍事法廷では、正義と人道主義という基本原則や、國(guó)際法に基づいて、戦爭(zhēng)を発動(dòng)し、実行したという日本の罪について審理を行った。反平和罪と反人道罪の審理の基準(zhǔn)は、戦勝國(guó)が事前に決めたものではない。仮に日本が戦爭(zhēng)に勝っていたら、日本軍國(guó)主義が犯した戦爭(zhēng)犯罪と反人道的な罪は帳消しになるとでも言うのだろうか。事実上、東京裁判は戦爭(zhēng)責(zé)任と反人道的な罪について、「抽象的な仮設(shè)の共同體」である國(guó)家ではなく、國(guó)家行為において主導(dǎo)的な役割を負(fù)う個(gè)人の罪業(yè)を明らかにした。まさに弱肉強(qiáng)食のジャングルの法則を修正する意味で正義を體現(xiàn)した。
「Ａ級(jí)戦犯は日本國(guó)內(nèi)ではもう罪人ではない」という森岡氏の発言については、日本の民族固有の考え方と関連している。日本の民族は「人は死ぬと神になり、どれほど人を激怒させるような罪を犯しても、自殺か他殺かを問(wèn)わず、死ねば罪は消え、神に成る」という観念を持っている。このような文化的な観念は世界でもかなり獨(dú)特だ。これについては文化的な観念からは理解できるかもしれないが、文化観念上の「罪」が法律概念の「罪」と置き換わろうとすると、それは伝統(tǒng)的で特殊な「日本基準(zhǔn)」を現(xiàn)代的で普遍的なグローバルスタンダードより上位に置くことになり、視點(diǎn)を混亂させ是非を転倒することになる。
森岡政務(wù)官のこのような発言は、日本の首相が靖國(guó)神社に參拝する正當(dāng)性を証明しようとするものに他ならない。事実上、戦犯の身內(nèi)や子孫が犯罪者を祭る資格を非難する人はいないだろう。なぜなら、極悪非道の罪を犯した犯罪者にも追慕する身內(nèi)や友人がいるからだ。疑わしいのは、國(guó)家の首脳や重要な政治家という立場(chǎng)で、Ａ級(jí)戦犯が合祀された宗教的な場(chǎng)所を參拝することに、正當(dāng)性があるかだ。
森岡政務(wù)官の発言は、日本の右翼が民族主義史観を基に歴史を書き直す企みを示している。このような民族主義史観と「意志」を持つ人は、森岡政務(wù)官が最初ではないし、最後でもないだろう。過(guò)去には、政府高官の歴史を改ざんしようとする右翼的な視點(diǎn)はすべて、大議論を巻き起こしたり、自身を辭任や解任に追い込んだりした。絶え間ない「自虐性」の後、情勢(shì)はとうとう変化し、日本の右翼の考え方が公の場(chǎng)で熱心に討論されることも可能となり、右翼的な視點(diǎn)がより強(qiáng)く容認(rèn)されるようになった。右翼的な発言をした高官が辭職する必要もなくなっている。歴史はまだ改ざんされていないかもしれないが、すでに曖昧模糊としたものに変えられている。
日本政府と多くの日本人は「経済的には巨人で政治的には小人」という狀態(tài)から抜け出し、「普通の國(guó)」になりたいと思っている。これは理解できる。理解できないのは、一部の日本の右翼が日本の民族主義の理論で歴史を書きなおすという真実から外れたやり方でこの目標(biāo)を達(dá)成しようとしていることだ。
日本や中國(guó)?韓國(guó)などを含む東南アジアの見識(shí)ある人々は、平和で安全な東南アジアの秩序は、理論上でも事実上でも、理性?和解?善隣という制度とその価値を核心とする東南アジア共同體の意識(shí)が覚醒しているという前提の上に構(gòu)築すべきであることを十分に認(rèn)識(shí)しなくてはならない。日本は、このような枠組み中で初めて「責(zé)任ある大國(guó)」として信頼を集められるだろう。
「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2005年7月15日
